皆さん、こんばんは!一人でも多くの人に焼酎を飲むきっかけを与えたい。焼酎プロモーターの亜樹穂です!
今回は2024年3月13日に「地理的表示(GI)」に新たに指定された「東京島酒」を紹介します。「東京島酒ってそもそもどんなお酒なのか知りたい」「焼酎ビギナー向けの東京島酒の銘柄を知りたい」といった方に楽しんでもらえる内容になっています。

「東京島酒」とは伊豆諸島で造られている本格焼酎のこと!

広報東京都こども版よりお借りしました。

19世紀中頃(江戸時代末期)より伊豆諸島(大島・利島・新島・式根島・神津島・三宅島・御蔵島・八丈島・青ヶ島)では麦焼酎・芋焼酎が造られています。
当時の伊豆諸島は「島流し」の移送先だったため、流された罪人の中には教養や知識を持っている方もいたそうです。嘉永6年(1853)に伊豆諸島に流された薩摩国阿久根出身の商人丹宗庄右衛門(たんそうしょうえもん)氏もその一人だったのだとか。

丹宗庄右衛門氏が三宅島と八丈島でさつま芋を原料とする焼酎の造り方を伝えたことをきっかけに他の島でも芋焼酎造りが広まりました。また、芋焼酎造りが広まった要因の一つに当時の伊豆諸島でさつま芋の栽培が盛んになっていたこともあげられます。

なぜ、さつま芋の栽培が盛んになっていたのか気になる方もいらっしゃると思うので、伊豆諸島の環境や気候についてお話します。

伊豆諸島は温暖多湿の気候のため、もろみの発酵がとても進みやすいそうです。(九州の気候と少し似ているのかもしれません。)
また、土壌の性質から稲作が行われていた形跡はほとんどなく、さつま芋・麦・粟(あわ)が主に栽培されていたそうです。稲ではなく麦を栽培していたことから、伊豆諸島で造られる本格焼酎には「麦麹」が使われています。
ちなみに、九州では「米麹」または「芋麹」を使って芋焼酎を造る場合が多いようです。

参考サイト:地理的表示(GI)「東京島酒」が指定されました

亜樹穂
亜樹穂

焼酎の勉強を始めた際に個人的に驚いたのは伊豆諸島で焼酎を造っていることでした!焼酎と聞くと九州のイメージが強い方も多いと思いますが、伊豆諸島で製造されてると知るとぐっと身近に感じられる方も多いのではないでしょうか。

続いて、今回「東京島酒」が指定された「地理的表示(GI)」についてお話します。

地理的表示に指定されると他のお酒との差別化に!

「地理的表示(GI)」とは、お酒について正しい産地であること、一定の基準を満たして生産されたことを示すものです。(英名はGeographical Indicationといいます。)

例えば「シャンパーニュ」はフランスのシャンパーニュ地方で造られ、指定された原料と指定された製法で製造していないと「シャンパーニュ」とは名乗ることができません。

このように「地理的表示(GI)」に指定されることでブランディング及び消費者が安心して商品を購入できるようになります。
現在、日本国内に地理的表示制度の対象とされているお酒は「壱岐焼酎」「球磨焼酎」「薩摩焼酎」「琉球泡盛」の他に清酒の「白山」ブドウ酒の「山梨」などがあげられます。

そのため、伊豆諸島で造られている焼酎の全てが「地理的表示(GI)」に指定された「東京島酒」の基準を満たしている訳ではありません。
「地理的表示(GI)」に指定された「東京島酒」の製法はこちら!

原料

  • 芋類に国内で収穫されたさつまいものみを用いたものであること。
  • こうじに麦のみを用いたものであること。
  • 水に伊豆諸島の島内で採水した水のみを用いたものであること。

製法

  • 伊豆諸島の島内で発酵、蒸留及び貯蔵が行われていること。
  • 原酒及び製品の貯蔵は常温で行うこと。
  • 麦又は芋類、こうじ及び水を原料として発酵させたもろみを、単式蒸留機をもって蒸留したもの及びそれらを混和したものであること。
  • 消費者に引き渡すことを予定した容器に伊豆諸島の島内で詰めること。
亜樹穂
亜樹穂

これまで「地理的表示(GI)」に指定された本格焼酎は米麹や芋麹を使用するもののみだったので、麦麹を使用する本格焼酎が指定されるのは初めてだそう!
麦麹とさつま芋の組み合わせで製造する芋焼酎も伊豆諸島ならではですよね。麦麹を使うことで麦の旨味とさつま芋の甘みの双方が楽しめます。米麹を使用した芋焼酎と飲み比べると興味深いかと。

「地理的表示(GI)」の「東京島酒」伝達式も開催!

伝達式の様子

2024年3月29日に東京国税局で「東京島酒」伝達式が開催されました!伝達式では、主催者のご挨拶の後に伝達文書を授与された後に「東京島酒」の説明会と質疑応答が行われました。

特に印象に残ったお話は、八丈興発の小宮山さんによる「東京島酒」という言葉が誕生したきっかけです。
10年前位に伊豆諸島で製造している本格焼酎の売上が減少していることに課題を感じていたそう。「何か名前をつければ島焼酎に興味を持ってもらえるのではないか?」のアイデアをきっかけに伊豆諸島で製造している本格焼酎を「東京島酒」と名前をつけたそう!
そこから少しずつ認知度が上がり、今回の「地理的表示(GI)」の指定に繋がったのではないか?というもの。

亜樹穂
亜樹穂

小宮山さんのお話をお聞きした際に、ふと私はどこで島焼酎を知ったのかな?と考えていましたが、虎ノ門横丁にある虎ノ門蒸留所で『情け嶋(麦焼酎)』のソーダ割りを飲んだことがきっかけでした。口当たりがとても軽くて、麦のスッキリした香りの後に麦の甘みがじわっと口内に広がる感覚に感動したことを覚えています。こんな美味しいお酒が伊豆諸島で造られているのか!ととても驚きました。

焼酎ビギナーにオススメな「東京島酒」は『無濾過 七福嶋自慢』と『江戸酎』!

「東京島酒」の種類はとても多いので、どれから飲んでいいのか悩む人も多いのではないでしょうか。個人的には、さつま芋の香りが穏やかで麦の甘みが後味にじわじわ広がるものがオススメです。

まずは、なかなか見かけないさつま芋×麦麹の組み合わせの芋焼酎から試してみて、他の麦麹×麦の麦焼酎なども試し、自分の好みに合った「東京島酒」を見つけてみてくださいね!

おわりに

今回は「東京島酒」についてお届けしました!いかがでしたか?
この記事をきっかけに「東京島酒」に興味を持ってもらえると嬉しいです。今後も「東京島酒」に関するトピックスやイベントなどの情報がありましたら、RANBIKIのSNSに投稿するのでお楽しみに!

私も「東京島酒」はまだまだ勉強中なので、飲食店などでもっと飲んでみたいと思います◎

投稿者プロフィール

亜樹穂
亜樹穂
焼酎プロモーションメディア「RANBIKI」編集長/焼酎プロモーター
好きなものはあん肝と白子。趣味は美味しい飲食店めぐりと酒屋さんめぐり

学生時代に本格焼酎と出会い、「一人でも多くの人に本格焼酎を飲んでもらいたい」「焼酎=パワフルのイメージを払拭したい」想いが強くなる。
その後独学で焼酎の勉強を始める。2021年3月に焼酎唎酒師を取得。