皆さん、こんばんは!一人でも多くの人に焼酎を飲むきっかけを与えたい。焼酎プロモーターの亜樹穂です!
今回は、2024年9月11日に東京国際フォーラムで開催された東京島酒のイベント「GI東京島酒KICK OFF!!」のレポートをお届けします。
東京島酒はそもそもどんなお酒なのか知りたい方はこちらの記事もご覧いただけると嬉しいです!
今回の記事は、東京島酒に興味のある方・GI東京島酒KICK OFF!!のイベントの模様を知りたい方にも楽しんでいただける内容になっています。
イベントは以下の流れで行われました!
- オープニング
国税局の方から「東京島酒の特性」に関するお話などがありました。 - 基調講演「島酒の文化と歴史を紐解く」
鹿児島大学客員教授の鮫島吉廣先生が文献を交えてお話をしてくれました。 - パネルディスカッション「GI東京島酒の可能性」
造り手やバーテンダー・日本酒ソムリエから見た東京島酒に関するお話がありました。 - 蔵元紹介
東京島酒を造っている4島7蔵の紹介がありました。 - GI東京島酒試飲交流会
千葉麻里絵さんが考案したペアリングフード、後根定信さんによる東京島酒ハイボールが振る舞われました。
【オープニング】東京島酒は麦の香ばしさや草木の清涼感を楽しめる!
冒頭に国税庁課税部酒類業調整官補佐の米澤慎雄さんによる「東京島酒の特性」の説明が以下のように行われました。
東京島酒は、伊豆諸島(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島)で造られる本格焼酎の総称です。
- 麦麹を使用すること
他の焼酎産地では主に米麹を使用するのに対し、東京島酒は麦麹を使用する唯一の産地 - 原料に麦、サツマイモ、またはその両方を使用すること
麦焼酎、芋焼酎、そしてこれらをブレンドした独自の焼酎がある - 独特の香りと味わいを持つこと
麦の香ばしさや草木のような清涼感のある香り
柔らかで軽快な特徴の中に黒糖の旨味が静かに感じられる
「東京島酒は麦の香ばしさと草木の清涼感」、あるいはソムリエの方は「グリーンの香り」と表現するそうです。
米澤さんによる「東京島酒」の説明は本当に分かりやすくて、スッと入っていきました。
私が好んでいただく本格焼酎は「柑橘類の香り」「紅茶のような香り」が多いので「グリーンの香り」「草木の清涼感」を本格焼酎から感じられるのは大変興味深いですね。
【基調講演】東京島酒は恵まれない環境の中で人々の知恵と執念によって生み出されたオリジナリティのある本格焼酎
鮫島先生の基調講演では、文献や歴史的背景から東京島酒を学ぶものでした。
江戸時代から当時の史料に「流人の丹宗庄右衛門氏がさつまいもで焼酎を造る方法を伝えたこと」が記載されていると、200年以上前から東京島酒は存在していたことが伺えます。
そもそも蒸留技術は恵まれない環境でお酒を造る方法として生み出されたものだそうです。伊豆諸島の土壌は痩せており、米が育ちにくいためにごり酒を造っても酔えないものだったそう。
そこで、お米が作れないなら麦とさつま芋を使って焼酎を造ればいいのではないか?となったそうですよ!
また、当時は錫を用いた「ツブロ式蒸留器」が主流だったそうですが、伊豆諸島では錫がとれなかったため、明治時代末期までは鉄を用いた「兜釜蒸留器(ランビキ)」を使用していたのだとか。
今回「東京島酒」は麦麹を使ったお酒で初めて地理的表示の認定を受けました。
確かに日本のお酒は「米麹」を使うものがほとんどなので、麦麹を使うこと自体珍しいことなのだと思います。「麦麹」と「さつま芋」でなぜ焼酎を造るのかも土壌や気候のハンデを克服するためと明確ですし、克服しているのが本当に素敵です。
恵まれていない環境でどうやったら美味しいお酒が造れるのか?と当時の人達が試行錯誤して生まれた「東京島酒」先代の方達に想いを馳せて飲むと、ますます「東京島酒」の味わいが深くなりそうですね!
【パネルディスカッション】東京島酒は、おばあちゃんが畳でご飯出してくれた時の香りを思い出す
パネルディスカッションでは、以下の方々が登壇されました!
パネリスト
バーテンダー/焼酎アドバイザー/ブランドコンサルタント:後根定信/Joshin Atone氏
日本酒ソムリエ/第14代酒サムライ/西麻布EUREKA!オーナー:千葉麻里絵氏
株式会社宮原 代表取締役:宮原淳氏
八丈興発株式会社 代表取締役:小宮山善裕氏
八丈島酒造合名会社 4代目:奥山武宰士氏
モデレーター
食と酒の編集者:神吉佳奈子氏
パネルディスカッションでは、神吉氏を中心にそれぞれが考える「東京島酒」の魅力についてお話されていました。
造り手が考える「東京島酒」の魅力とお酒に関わる仕事をしている方が考える「東京島酒」の魅力を一度に聞ける貴重な機会となりました。
後根さんは、「東京島酒」とスコッチが似ていると表現していました。スコットランドで造られるウイスキー「スコッチ」も島がいくつか分かれており、島ごとに味わいや風味が異なっているそうです。
千葉さんは、東京島酒の香りを「おばあちゃんが畳で出してくれたご飯の匂い」や「農作業をした時の汗の香り」と表現していました。
小宮山さんは『情け嶋』の銘柄名の由来を教えてくれました。
情がある、場がある島=八丈島のことだそう。八丈島から上京した方々が飲食店や酒屋さんなどで『情け嶋』を見つけた時に八丈島を思い出してほしいと想いを込めたそうです。
宮原さんは「高校生の時に育てたさつま芋で芋焼酎を造り、成人式で飲む」試みを行っているとお話されていました。
奥山さんは『島流し』の銘柄名の由来を教えてくれました。
八丈島に流された流人たちは、八丈島の温かい人達に囲まれながら最後まで幸せに暮らしたそうです。その流人達に想いを馳せるきっかけになればと『島流し』という名前にしたそうです。
豪華なパネルディスカッションでしたね‥!
自分で育てたさつま芋をお酒が飲めるようになった年齢で飲めるなんて羨ましいです。笑
スコッチの話でふと思い出したのですが、私は大学生の頃にイギリスに短期留学をしており、スコットランドのウイスキー博物館を訪ねました。
その頃、ウイスキーを全然勉強していなかったのですが、4種の島のウイスキーの香りや味わいを比べられるコーナーがあったことを覚えています。原料は同じはずなのに「こんなに風味が変わるの?」と衝撃を受けたことをいまだに覚えています。
島酒も4島7蔵あるのでスコッチと同様に島ごとの個性を楽しめる点もとても素敵だなと思います!
【GI東京島酒試飲交流会】千葉麻里絵さん考案のフィンガーフードと後根定信さんの東京島酒ハイボールが楽しめる!
試飲会では、フィンガーフードと東京島酒ハイボールが楽しめるようになっていました!
フィンガーフード
- 芋焼酎×江戸生のりで島寿司・白菜クミンと水餃子
- 麦焼酎×ブルーベリーとピスタチオのクリームスープ・グリーンカレーとレーズンバターのバーガー
- 芋×麦焼酎×エビのエスニックブルスケッタ・クミン香る豚カツレモンサンド
東京島酒ハイボール
- 御神火芋×りんご
- 七福嶋自慢×ベルギーホワイトビール
- あおちゅう×発酵レモンハニー
- 島の華×フィノシェリー
- 麦冠情け嶋×スタウトビール
- 黒潮×グアバ
- 島流し×ベルジュ
フィンガーフードと東京島酒ハイボールのラインナップは文字で眺めていたのですが、とっても美味しそうでした!
私はメディア側で参加したので、メディア向け質疑応答の場で蔵元さんのお話を聞いていたのですが、質疑応答終了時点で「フィンガーフード」「東京島酒ハイボール」は完売しており、残念‥!笑
「東京島酒」試飲レポート
幸いにも「東京島酒」自体はまだあったので、7蔵のブースを巡り「ロック」や「ソーダ割り」で試飲しました!
長くなりますが、最後までご覧いただけると幸いです!
『あおちゅう』はなかなか飲む機会がなかったので、ようやく飲めました!草木や畳を彷彿とさせる香りがする焼酎は初めてだったので驚きましたね。
『島の華』のソーダ割りは、口当たりがサッパリしていて後味も爽やかでした。飲み心地がいいので、焼酎ビギナーにも勧めやすそう。
『黒潮』は香ばしい麦の香りがくすぐります。ほんのり甘いのは芋焼酎の要素なのかな‥?と思ったのですが、どうやら麦焼酎と芋焼酎をブレンドしているそうです!
『御神火芋』はさつま芋の素材の味わいがしっかり楽しめます。お湯割りにして飲んでみたいです。
『麦冠情け嶋』は麦の香ばしい香りと麦の甘みがじわじわと広がるのが心地いいですね。飲食店でもよくいただくので、ほっこりします!
『七福嶋自慢』はこの柑橘類を彷彿とさせる香りが楽しめます。麦麹を使ってるからかほんのり後味に優しい甘みを感じます。
『島流し』は、様々なさつま芋を使用して造られた芋焼酎。一口飲むとふわっとヨーグルトを思わせる香りやほくほくしたさつま芋の香りなどが感じられます。
今回の試飲会で初めて飲んだ銘柄で印象に残った銘柄は『島流し』ですね!今回はストレートだったので、ソーダ割りでも飲んでみたいです!
おわりに
今回は、「GI東京島酒KICK OFF!!」の参加レポートをお届けしました!いかがでしたか?
私は今回のイベントで改めて「東京島酒」を学びましたが、新たな気付きや焼酎に興味を持った人に伝えたい内容が増えたように思います。
東京でこんなにこだわりがぎゅっと詰まった本格焼酎が造られていることをもっと多くの方に知ってもらいたい!という気持ちも強くなりました。今後も「東京島酒」の発信を微力ではありますが行っていきます!
投稿者プロフィール
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焼酎プロモーションメディア「RANBIKI」編集長/焼酎プロモーター
好きなものはあん肝と白子。趣味は美味しい飲食店めぐりと酒屋さんめぐり
学生時代に本格焼酎と出会い、「一人でも多くの人に本格焼酎を飲んでもらいたい」「焼酎=パワフルのイメージを払拭したい」想いが強くなる。
その後独学で焼酎の勉強を始める。2021年3月に焼酎唎酒師を取得。
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